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◆トピックス
2010.12.05 日本動物実験代替法学会年会にて


1. 日本動物実験代替法学会第23回大会におきまして、佐藤一博先生(福井大学
医学部環境保健学)が論文賞を受賞されました。


2.ダイセル化学工業株式会社の山下邦彦様がOECDに提案された皮膚感作
性試験法が優れたLLNA(Local Lymph Node Assey)法としてOECD
ガイドラインに収載されました。


3.Corwin Hansch先生(ポモナ大学名誉教授)が
  2011年5月8日に、ご逝去されました。




1.論文賞に関しまして

  日本動物実験代替法学会機関誌であるAATEX (ISSN 1344-0411)(Alternatives to Animal Testing and EXperimentation)に佐藤一博(福井大学医学部環境保健学)准教授が投稿されました論文(Title:Skin Sensitization Study by Quantitative Structure-Activity relationships (QSAR))が論文賞を受賞し、12月5日に北里大学で開催されていた第23回大会にてその公表と表彰が行われました。

 本研究は福井大学医学部環境保健学の日下幸則教授が実施されている厚生労働科学研究・感作性物質分類小委員会での活動成果の一つとしてJournalに発表されたものです。本Journalには、
佐藤一博准教授をFirst Authorとし、小委員会に参加されている諸先生方との共同発表となっております。
なお、(株)インシリコデータの湯田が本研究のデータ解析部分を担当させていただいております。
  改めてお祝いを述べさせていただくと同時に、佐藤一博先生の今後のご活躍をお祈りいたします。

*受賞論文
Skin Sensitization Study by Quantitative Structure-Activity Relationships(QSAR),
Kazuhiro Sato et al., AATEX 14(3), pp 940-946 (2009) 


 
     佐藤 一博 先生              表彰状

2.LLNA改良法のOECDガイドラインへの収載に関しまして

  山下邦彦様(ダイセル化学工業株式会社)ご提案のLLNA改良法がOECDガイドラインに収載されました。
  山下様は厚生労働科学研究・感作性物質分類小委員会の委員としてご活躍されております。今回、山下様がOECDに提案されておりましたLLNA(Local Lymph Node Assey)の改良法が認められ2010年7月にOECDガイドラインとして収載されたことが日本動物実験代替法学会第23回大会にて正式に報告されました。
  今後は本手法が日本独自の皮膚感作性試験法として日本のみならず、世界に広まりますようご活躍されますことを祈念致します。



3.Corwin Hansch先生(ポモナ大学名誉教授)がご逝去されました。

 定量的構造-活性相関(Quantitative Structure - Activity Relationships)の創始者であるCorwin Hansch先生が2011年5月8日に肺炎にて逝去されました。ここに、謹んで生前の偉大な業績をしのびつつHansch先生のご冥福をお祈りいたします。
 Hansch先生の功績は定量的構造-活性相関(QSAR)を確立されたことです。この手法は、データ解析手法を用いて薬理活性と化合物の諸物性を相関づけることで、薬理活性と化合物の相関関係を理論的に説明する事を可能としたものです。
 最初の論文は、日本の藤田稔夫先生(現京都大学名誉教授)との連名です。
Hansch C. and Fujita T., "ρ-σ-πanalysis. A method for correlation of biological activity and chemical structure.", J. Amer. Chem. Soc., 86, 1616 (1964) 
 この定量的構造-活性相関は多くの研究者により受け継がれ、薬物の作用機序解明や新規薬物開発に大きな功績を残しました。薬理活性分野では、その後開発されたドッキング手法が主体となり展開されており、往時のQSARの活発さが薄れつつあります。しかし、QSARは化合物の諸物性と薬理活性との相関を説明しやすい特徴を有し、ドッキングとは異なる観点からの議論が可能です。さらにQSARは、よりメカニズムが複雑で、かつドッキング手法の適用が原理上不可能である安全性(毒性)研究分野で積極的に適用されつつあります。


*EuroQSAR2004(トルコ;イスタンブール)での記念講演時


*EuroQSAR2004での歓迎レセプション時のスナップショット。
 真中がHansch先生で、その右側の女性は奥様です。
 私はHanschご夫妻とのショットということで緊張のあまり顔が歪んでしまいました。


*同じく、Hansch先生と奥様、左端の女性はHansch先生の秘書の方です。
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